スーパーグローバルハイスクール(SGH)第1回全国フォーラム開催

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

本日、スーパーグローバルハイスクール(SGH)第1回全国フォーラムに参加しました。SGHは、高校生からのグローバル・リーダー育成を目的として2014年度から始まった文部科学省の事業です。初年度56校、2年目56校、3年目の今年は11校が指定され、現在全国で123校が国の補助金をもらってグローバル・リーダー育成の教育プログラムを実践研究しています。

各校の指定期間は5年間なので、初年度に指定された56校は、今年、中間評価を受けました。その中で「優れた取組状況であり、研究開発のねらいの達成が見込まれ、更なる発展が期待される」とSランク評価されたのは4校でした。
「これまでの努力を継続することによって、研究開発のねらいの達成が可能と判断される」とAランク評価されたのが16校、「これまでの努力を継続することによって、研究開発のねらいの達成がおおむね可能と判断されるものの、併せて取組改善の努力も求められる」というBランク評価が19校、「研究開発のねらいを達成するには、助言等を考慮し、一層努力することが必要と判断される」というCランク評価が15校、「このままでは研究開発のねらいを達成することは難しいと思われるので、助言等に留意し、当初計画の変更等の対応が必要と判断される」というDランク評価が2校でした。
「現在までの進捗状況等に鑑み、今後の努力を待っても研究開発のねらいの達成は困難であり、SGHの趣旨及び事業目的に反し、又は沿わないと思われるので、経費の大幅な減額又は指定の解除が適当と判断される」というEランク評価の学校はなかったものの、SからDまで、かなり幅のある評価に分かれました。
税金を投入して行っている事業なので、厳しい評価をしながら進めるのは当然のことですが、指定の段階でもっときちんと精査できなかったのかな、とも思います。

前置きが長くなってしまいましたが、その3年目までの中間報告としての第1回全国フォーラムが今日行われたのです。

フォーラムでは、SGH指定校から高校生6名が参加して、All Englishでディスカッションを行いました。用意したプレゼンを英語で行うのはまだしも、発表後にファシリテーターの松本茂先生(立教大学教授)からの英語での質問にも流暢に答える高校生たちの英語力に感嘆しました。

また、中間評価でSランク評価だった4校(渋谷教育学園渋谷名城大学附属、広島女学院島根県立出雲)の先生方が事例報告をしました。さすがはSランク評価を得ている学校だけあって、それぞれの取り組みが素晴らしいし、PDCAをきちんと行っている様子が分かりました。他の学校の参考にもなりそうです。

そして、基調講演は、東京大学吉見俊哉副学長による「文系の知とは何か。人文社会科学と自然科学を架橋する高大接続とグローバルリーダー育成」と題したお話でした。理系と比較して文系の学問は役に立たないと言われているが、そのようなことはない、というのが講演者の主張でした。理系学問は目的遂行的に役に立つが、一方で、文系学問は価値創造的に役に立つというのです。そして、価値創造的に役に立つのは「長く」役に立つのです。工学が3〜15年のスパンで役に立つのに対し、社会科学は15〜50年、人文学は50〜500年のスパンで役に立つのだそうです。
なかなか面白い視点です。

昨年、マスコミで国立大学の文系学部は統廃合されるというようなことが報道されましたが、それは誤解も大きいようです。文部科学省も必ずしもそういう文脈で語っているわけではありません。文系学部は長い目で見て必要な学問であるということもその通りだと思いますし、これからも文系学問を学ぶ必要性はあると思います。
グローバル・リーダーが理系なのか文系なのかは別として、日本を、そして世界を支え発展させる人材がこの日本で育つことが求められていることは確かです。子どもたちが学ぶ機会をきちんと確保することは私たち大人の大事な役目だと思います。
SGH指定校も、さらなる研究を進めて成果を出してほしいと思います。