次期学習指導要領案に込められた思い

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

文部科学省は、本日、幼小中学校の次期学習指導要領の案を公表し、パブリックコメントに付しました。
次期学習指導要領は、小学校は2020年度、中学校は2021年度から実施される予定です。

とり急ぎ、中学校の学習指導要領案にざっと目を通してみました。

今回の改訂では、初めて「前文」が設けられ、「これからの時代に求められる教育を実現していくためには、(中略)社会に開かれた教育課程の実現が重要となる」との記述がされました。
また、「総則」の中には、「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」などの言葉が登場し、中教審の答申における改訂のポイントはほぼ盛り込まれていると思われます。

「主体的・対話的で深い学び」については、「生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習の過程を重視すること」という説明があり、カタカナの言葉は使わなかったもののアクティブ・ラーニングの推進を指示するものになっています。

各教科の章の中でも、「生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること」という記述があり、アクティブ・ラーニングを重視していることが読み取れます。

また、身につける資質・能力を(1)知識及び技能、(2)思考力、判断力、表現力等、(3)学びに向かう力、人間性等と3つに分類していますが、中でも思考力、判断力、表現力を重視していることが分かります。
例えば「国語」の中には、「[知識及び技能]に示す事項については、[思考力、判断力、表現力等]に示す事項の指導を通して指導することを基本とし、必要に応じて、特定の事項だけを取り上げて指導したり、それらをまとめて指導したりするなど、指導の効果を高めるよう工夫すること」と記述されており、[知識及び技能]だけを指導することは例外的で、[思考力、判断力、表現力等]の指導を通して指導することが基本だということを示しています。

私が一番注目したのは、「学習評価の充実」という項目です。
「学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること」と書かれており、具体的な方法について興味がわきました。ポートフォリオやルーブリックなど新しい評価の方法の余地も残しており、今後も学習指導要領の検討を注視していきたいと思いました。