体罰調査の裏にあるもの

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

一昨日、文部科学省平成24年度の体罰に関する実態調査の結果を公表しました。昨年4月から今年の1月までの間に発生した体罰の件数は、小中高合わせて840件。そのほとんどが懲戒処分を行った、もしくは処分を検討しているものです。

都道府県(政令指定都市)別にみると、大阪府大阪市を合わせた80件がもっとも多かったのですが、橋下徹市長は気になることをツイッターの中で発言しています

大阪市では、校長報告だけでなく、全生徒アンケートも実施しました。そうしますと、校長報告の方がはるかにすくない。こちらが大問題です」と。

学校としては処分対象となるような事件として発覚したものだけを件数として認知しています。でも、実際にはそれをはるかに超える“体罰かもしれない”事件が起こっているのでしょう。

橋下徹市長は、体罰問題を「現行の教育委員会体制の限界の象徴例」と言っています。責任が不明確な体制だから、こういう事件が起こるのだ、と。

桜宮高校の体罰事件が起こった以降、社会的関心が高まったため、現場の教員は指導がやりにくくなったと聞きます。本気で生徒指導をしていたら、「これは体罰か、体罰じゃないか」なんて冷静に考えていられないでしょう。体罰と懲戒の境目を認識することは必要ですが、文部科学省が示す一つひとつの基準を全部覚えてそれ通りに指導するなんてナンセンスです。

昔は体罰と呼べる事象はたくさんありました。でも問題にはならなかった。それは、学校の先生に対する全幅の信頼があったからです。殴られたとしても、先生のやることだから、よほどの考えでやったのだろうと、善意に解釈をしていたのだと思います。

体罰を容認するわけではありませんが、体罰処分に怯えて本来の指導ができなくなるぐらいなら、その前に、生徒や保護者との信頼関係をどのように構築するかを考えた方がいいのではないでしょうか。