三度ビックリの日曜日

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

先週末、近くの書店に寄ったところ、私の気を引くPOPが目に入ってきました。
「あれ!?と感じた時はもう手遅れ。あなたはもう騙されている!」

最近は、仕事用の教育専門書や経営専門書、ビジネス書を読むことが多いのですが、元来はミステリー小説が好きです。
この日も、ビジネス書と新書の棚を物色し、目ぼしいものがなかったので帰ろうとしたところ、店頭に平積みにされた大量の文庫本と、先述のPOPを発見したのです。

その文庫本の作者は中町信。昔はよく読んだのですが、確か数年前に亡くなっているはずです。今頃、平積みとは、没後に未発表作品でも出てきたのかな、と思いました。
タイトルは「模倣の殺意」。聞いたことのない今風のタイトルです。

POPに惹かれて、衝動買いでレジに持っていってしまいました。
POPの宣伝文を見ると、恐らく、叙述トリック作品です。叙述トリックとは、作品の中の犯行にアリバイなどのトリックがあるのではなく、文章上の仕掛けによって読者にミスリードさせる技法です。読後に「あー、騙されたー」という感想が漏れる作品です。
東野圭吾伊坂幸太郎道尾秀介も、この手法を使います。近年では、歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」や乾くるみの「イニシエーション・ラブ」などがこのタイプで有名になりました。

長編小説なのですが、日曜日に一気に読んでしまいました。なかなか秀作ですが、どこかで読んだことがあるような気も・・・。

で、あとがきの解説を読んでビックリ。
なんと、40年以上前に発刊した小説のリバイバルだったのです。
なんでビックリしたのかというと、それを今頃になって発掘してきた出版社の戦略にビックリ。そして、それを思わず衝動買いさせてしまう書店のPOPの威力にビックリ。
そして、何より、一度読んでいたのに、まったくそれに気づかず、最後までトリックにも気づかず読んでしまった自分の記憶力の無さにビックリです!

原作は「新人文学賞殺人事件」というタイトルです。まだ持ってます。二つの本を並べて本棚にしまっておこう。また、20年後には新作気分で読めそうです。