キャリア教育のウソ

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

近年、私立中高一貫校でもキャリア教育が盛んになっています。社会構造が変化する中で、キャリアパスは複雑化していますので、そのような教育の必要性も高まっているのでしょう。

一方で、フリーター、ニート問題が顕在化した頃から、政策によってキャリア教育が強く推進されてきました。そこでは、「勤労観」が重視され、とにかく正社員として働くことが良いことだという意識を植え付けさせようとして、職業体験などのプログラムが中高で導入されてきました。

法政大学の児美川孝一郎先生の「キャリア教育のウソ」という本を読むと、そのような教育の危うさと、本来あるべきキャリア教育の姿が見えてきます。

児美川先生は、いま日本社会は転換期にあると言います。戦後型社会システムが崩れ、次のシステムが構築されていない今、慣行や制度、組織に頼りきって生きていくわけにはいかないと。
こんな時代に求められるポイントは、1)学校卒業後も生涯学び続けていく姿勢を身につけること、2)就職できたら終わりではなく、自分の人生を引き受けていく「キャリアデザイン」のマインドを持って行動すること、だと児美川先生は言います。
そして、私もとても賛同しますが、必要なのは、「学び方を学ぶこと」と「羅針盤、即ち自分の生き方の軸を持つこと」だと若者たちにメッセージを送っています。

先生が指摘するように、社会についての知識がない中学生にキャリアプランを立てさせたり、身近な所で職場体験させることにはデメリットも含んでいると思います。そのような狭い観点でキャリア教育を捉えずに、これからの社会における生徒たちの人生を真剣に考え、本質的なキャリア教育を行えるよう学校におけるプログラムを考えていかなければならないと改めて考えさせられました。