大学改革のグッドプラクティス

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

本日、東京の明治大学を会場にして、大学改革フォーラム「大学教育の未来を探る」が開催されました。「大学改革支援プログラム(GP)の検証と展望」という副題がついている通り、2003年から2010年に実施された文部科学省の大学GP事業の総括のような内容でした。大学GPは民主党政権時代に残念ながら事業仕分けで廃止になりました。しかし、多くの大学がその後も改革活動を継続しています。今日のフォーラムでは、その中でも良い取り組み(グッドプラクティス)をしている大学の事例が紹介されました。

午前中は分科会形式で行われました。私は「グローバル化」というテーマの分科会に参加しましたが、立教大学群馬大学亜細亜大学が事例発表をしました。立教大学からは「バイリンガル・ビジネス・エデュケーションとリーダーシップ教育」というタイトルで、主に国際経営学科で行われている教育について発表がありました。群馬大学は「多文化共生社会の構築に貢献する人材の育成」について、亜細亜大学からは「アジア夢カレッジ」について発表がありました。
グローバル化といっても、それぞれ異なる観点で特徴的な取り組みを行っており、まさにグッドプラクティスといえるでしょう。

分科会の最後には、明治大学の横田教授がまとめのコメントをされました。その中で、いま大学に求められる改革は次の7つだとおっしゃいました。1)大学理念のグローバル化、2)教育内容のグローバル化、3)教育方法のグローバル化、4)研究方法のグローバル化、5)大学システムのグローバル化、6)大学サービスのグローバル化、7)外部との関係のグローバル化

最近、私は大学のグローバル化対応を研究していますが、大きく分けると上記の1〜4にあたる「大学教育のグローバル化」と5〜7にあたる「大学組織のグローバル化」の2つの分類があると考えています。そして、事例を見ていると、組織のグローバル化の取り組みの方が多いことに気づきます。
私は、日本の学生をどのようにグローバル社会に対応できる人材に育てるかということに関心があるのですが、その前に、グローバル競争にさらされている大学そのものが、まずグローバル化しなければならないという危機感の方が強いのかもしれません。

分科会終了後に、立教大学経営学部の松本茂教授とお話をしましたが、松本先生は「中高教育のグローバル化も重要だが、まずその前に学校や教員がグローバル化しなければ始まらない」という主旨のことをおっしゃっていました。
確かに、まったくグローバルな雰囲気のない学校の中で、教育内容だけグローバルにしようと思っても難しいよな、と改めて思いました。中高も組織のグローバル化が必要です。
先生方、まず世界に目を向けましょう!