教師のミッション

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

先日、「銀の匙」授業で有名な元灘高校教諭の橋本武さんが亡くなりました。橋本さんは、ユニークな授業で伝説の国語教師と言われています。その個性は何十年経っても語り継がれています。

そのことで思い出したのですが、先週、ある学校の管理職の先生とお話をしました。
その先生が強く語っていたのは「教師一人ひとりのミッションが大切」ということです。

学校のミッション、教科のミッション、学年のミッション。
組織としてのミッションはもちろん必要だけれども、大切なのは教師個人のミッション、つまり「自分が何をしたいのか(何をすべきなのか)」ということだとおっしゃっていました。

私も、私学にとっては学校のミッションが重要だと思いますが、それにも増して、先生一人ひとりの「何をしたいか」が大切だと思っています。

学校改革を行う時、学校としての向かう方向が明確になることが大切です。建学の精神や教育理念を再認識しミッションを全教職員が共有しないと前には進めません。そして、中長期の目標像としてのビジョンを策定し、全員共通の目標とします。それから具体的な施策を考えていきます。
その際、共有、共通を強調し過ぎるあまり、教師一人ひとりの個性を削いでしまう危険性があります。大きな方向性や価値観は共有しながらも、教師個々の個性を活かした教育活動ができることが理想です。

例えば教科指導において、教育目標を持ち、シラバスをつくります。シラバスは、各教科・科目における学校としての学習の指針を示しています。しかし、すべての教師がシラバス通りに授業を行うことがベストだと私は思いません。
学習の目標を逸脱しない範囲で、教師一人ひとりの個性で授業を展開すべきだと思います。その個性的な授業のもととなるのが、教師個人のミッションです。「何をしたいのか」が明確な先生はとても魅力的です。生徒たちも先生の魅力を感じとることができます。そして楽しく学び、力がついていきます。

銀の匙」一冊で、学びを紡ぎ出すのはとても難しいことです。そんな神業的な授業をすべての先生が行う必要はありません。でも、せめて信念を持って自分の授業をつくりあげる。そんな熱意を感じられる授業を展開していきたいものです。

管理職の方々は、教師一人ひとりの力をいかに引き出すかを大切に考えてマネジメントをしていきましょう。