世界を変える20代の育て方

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

「世界を変える20代の育て方」というのは、東京大学名誉教授の柳沢幸雄先生の近著のタイトルです。東京大学と米国ハーバード大学の両方で教授を務めた柳沢先生が、日本の大学および日本の教育システムについて提言している本です。

柳沢先生は、日本の高校生は「世界に誇れる18歳」だと言います。それが、日本の大学に進学することで才能を潰してしまっていると。
実は、柳沢先生は私立開成高校の現職校長です。実際に、世界一優秀と言われるハーバード大学の学生、日本一優秀と言われる東京大学の学生、そして開成高校の高校生を見て言うのだから間違いはないでしょう。せっかく学問の「ギフテッド(才能)」を持った生徒が日本の大学のせいで「真のリーダー」に育っていないと言うことにも頷けます。

本の中では、東京大学ハーバード大学のシステムの違いを指摘し、東京大学にハーバード式を取り入れてはどうかと提言しています。例えば「教授を契約制にする」「学問の場に就活を持ち込まない」など。「チェック&バランスの効いたシンプルできちんとした競争原理を導入し、広く門戸を開き、校正かつ厳密な評価をすれば大学は変わる」と言います。確かにその通りと思えることが多いのですが、残念ながら、現状の日本の国立大学法人では難しいのではないかとも思ってしまいます。

最終章では、「日本を変えるための具体的提言」をしています。結論は、真のリーダーを育てるためには、「悪しき平等主義を捨て、志あふれる競争をしよう」ということです。競争する能力と意思がある人は競争をしてリーダーになってもらう。自分のペースで安心して働きたい人には相応の雇用を保障する、ということです。2つの道を用意し、自分の志向と資質に合わせて選択ができる多様な社会をつくることが大切だと言います。

今の日本の風土では、なかなかこのように竹で割ったようには上手くいかないと思いますが、グローバル化が進む中、世界で通用する真のリーダーが必要とされていることは納得できます。その育成のために、大学を、それもトップの東京大学を改革すべきという主張にも同意できます。

このように日本を客観的に見られるグローバルな視野を持つ方の意見を参考にして大学改革を考えていくことが必要でしょう。