Project Based Learning(PBL)の必要性

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

3月になりましたね。お知らせですが、今月15日に行われる「産学連携キャリア教育研究会シンポジウム」で講演を行うことになりました。品川女子学院の漆校長先生や資生堂の深澤人材開発室長とともに登壇します。
私は、「中等教育における『PBL』の活用」というテーマでお話します。会場は東大の本郷キャンパス、参加費は無料ですので、ご興味ある方はぜひご参加ください!

と言っても、「PBLってなんだ!?」という方も多いと思いますので、ちょっと長くなりますが、私の考えを記しておきます。

いま世の中ではグローバル化が進み、変化のスピードが速くなっています。次々に起こる問題に対して素早く対処できる人材が求められています。
変化の激しい世の中で新たに起こる問題は、何が問題なのかという課題設定も難しく、さらには既存の知識では対応できないことも多く、多様なバックグラウンドを持つ人々と協働して、知識や理論、経験を統合し展開していくことが必要になります。
つまり、「多様な人々と協働しながら課題を発見し、課題の本質を見抜き、課題を解決していくことができる人材」が求められるようになっています。

このような変化を実感しながらも、日本の学校教育においては、まだまだ知識や理論を伝授することを目的とした授業が大半を占めています。もちろん、過去の事実、経験から得られた知識、理論を系統的に学ぶことも必要です。しかし、一方で、課題発見・解決力を育てるプログラムも必要だと思います。

そのような問題意識から、Project Based Learning(PBL)に注目しています。少人数グループで、実社会に存在する具体的な問題をベースに、課題発見から課題設定、課題解決を実際に疑似体験しながら学ぶ学習スタイルです。

ベイストンの学習ピラミッドによれば、人が講義で理解・記憶できることを「5」とすれば、読書では「10」、議論では「50」、行動を伴う実験や学習では「75」、他人に説明することでは「90」の定着率があるといいます。つまり、講義型の授業と比較して、議論をしたり、実体験をしたり、プレゼンテーションを取り入れた授業は何倍も教育効果があるということです。

PBLは、課題発見・解決力を身につけるとともに、知識の定着にも効果があるということです。

これは、中学校や高校の授業にPBLを取り入れない理由はないでしょう!と言いたいところですが、課題が2つあります。1つは、教師の役割が変わるということです。知識や理論を「教える」ことから、学びを「ファシリテート(促進)する」役割になります。
そして、もう1つは、ただ課題を与えて「さあ考えましょう」と言っても、課題解決は先に進まないということです。課題発見・解決に必要な特別なスキルがあります。これを学ぶことなしにPBLを行っても、程度の低い話し合いで終わってしまいます。課題発見のための「デザイン思考」や批判的に物事をとらえる「クリティカル・シンキング」、理論的に整理する「ロジカル・シンキング」、考えを分かりやすく説明する「プレゼンテーション力」などが必要です。これらは、大人は必要と感じているけれども、なかなか中学校や高校で教えることができません。PBLの授業とセットにして教えて体験的に定着させると効果があるのではないかと思います。

PBLは面白そうだけど、実際にどうやったらいいんだろうか?とお悩みの方は、ぜひ3月15日のシンポジウムにお越しください。お待ちしております!