幸福度世界一のデンマークに学ぶ(1) 〜プロローグ

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

昨年発表された「世界幸福度レポート(World Happiness Report 2013)」によると、国民の幸福度が世界で最も高い国はデンマークでした。以下、2位=ノルウェー、3位=スイス、4位=オランダ、5位=スウェーデンと北欧諸国が高ランクに位置づけられました。米国は17位、日本は43位、中国は93位です。最下位はトーゴで、アフリカ諸国が下位を占める結果となりました。

このレポートは、米コロンビア大学地球研究所が国連の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」の協力によって実施した調査をまとめたもので、幸福度の算出は、インタビュー形式で幸福度に影響するとみられる各項目に点数を付けることで行われました。ちなみに、項目とは「家族1人当たりの収入」「社会保障サービス」「人生のうち健康に過ごすことのできる年数」「選択の自由度」「汚職対策の強さ」「寛大さ」の6項目です。

では、デンマークはどのようにして、世界一幸福な国になったのでしょうか。そこには教育が大きく影響していると言われています。
デンマークの教育を研究することで、将来の日本を世界一幸福な国にするヒントが得られるかもしれません。これから何回かに分けて、デンマークの教育をレポートしていきたいと思います。

まずは、デンマークという国を概括してみましょう。

デンマークは、九州より少し広い面積の国土に、兵庫県ぐらいの人口が住んでいる国です。ドイツと接しているユトランド半島と400以上の島々からなる北欧の国です。

デンマークは世界で2番目に古い君主国(王国)です。ちなみに一番古い君主国は天皇がいる日本です。

主な産業は、エネルギー(風力発電)、農業、生命科学です。世界で使用されている洋上風力タービンの80%がデンマーク製です。

デンマーク社会福祉国家です。格差と貧困はありません。男女平等も進んでいます。その代わり、税金は高いです。消費税は25%です。

どのような国か、だいたいイメージできたでしょうか。


さて、教育制度ですが、国民学校と言われる日本における小学校・中学校にあたる義務教育期間があります。1年生から9年生までですが、その前後に0年生と10年生の制度があります。国民学校入学までには、ほとんどの子どもは3歳から幼稚園に通います。働く女性も多いので、早朝から預けられるのが特徴です。幼稚園に入る前は保育園や委託保育、ベビーシッターが充実しています。
国民学校は無料ですが、幼稚園や保育園は有料です。ただし、費用の3分の2は市町村が負担をしてくれます。

高校段階は、大学に進学するための高等学校と職業別専門学校に分かれます。デンマークでは、すべての職業が学校で得る資格を要することになっています。なので、高校段階から職業を意識して進路選択をします。
なので、9年生(日本の中学3年生)卒業のあとに10年生があり、進路を決めかねている子など、半分ぐらいの生徒は10年生を選びます。

また、面白いのは、どこの企業に就職しても、職種が同じなら給料は同じです。ですから、どの高校に入っても、どの大学に入っても、就職に差が出たりはしません。なので、受験競争はありません。
高校や大学は義務教育ではありませんが、原則として授業料は無料です。
違う職種に転職するのであれば、再度、高校や大学に入って学び直します。いわゆる生涯学習が進んでいます。

そして、デンマークの学校の特徴として、ICT整備率が高いことがあげられます。どの学校にもパソコンや電子黒板が導入されています。

これが、主流となる教育制度の概要ですが、これとは別に伝統的にデンマークに存在する教育機関として、「エフタスコーレ」(全寮制の中学段階のフリースクール)、「フォルケホイスコーレ」(全寮制成人教育機関)があります。これについては後日詳細にお伝えします。

長くなったので、今日はこのへんで終わりにします。デンマークで、どのような考えで教育を行っているのか、それぞれの学校でどのような教育を行っているのかについては述べることができませんでしたので、それについても後日、詳述していきたいと思います。