持続可能学力を育てる

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

本日、毎日新聞社主催(日能研協賛)のシリーズ「22世紀型スキル<持続可能学力>を高める私学の教育」第2回座談会に参加してきました。登壇されたのは、麻布中学高等学校校長の平秀明先生、雙葉中学高等学校校長 の和田紀代子先生、国際教養大学学長の鈴木典比古先生の3名です。

「22世紀」とはさすがに早過ぎるだろうと思われるかもしれませんが、86年後といえば今年生まれた赤ちゃんは十分生きている時代です。人の一生に影響する教育にたずさわる我々としては、意識してしかるべきことだと思います。

また、「持続可能学力」とはなにかということですが、この会の中では明確に定義されていませんでしたが、主催者に断らずに私が勝手に解釈すれば、2つの意味があると思います。
1つは、持続可能な社会をつくるために必要な学力という意味です。持続可能な開発のための教育(ESD=Education for Sustainable Development)というコンセプトをユネスコが提唱しています。環境・貧困・人権・平和・開発といった様々な地球規模の課題がありますが、地球に存在する人間を含めた命ある生物が、遠い未来までその営みを続けていくために、これらの課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが自分にできることを考え、実践していくための教育のことです。
登壇した雙葉、麻布の両校長先生は、自校での教育においてそれを意識していると講演の中でもおっしゃっていました。

もう1つの持続可能学力の意味ですが、一度身につけておしまいではなく、生涯にわたって使える学力という意味です。麻布の校長はこの点を強調されていました。
「我が校では、大きな水槽にいっぱいの水を溜め込むのではなく、涸れぬ泉を作り出すような教育を目指している」という比喩を使って説明していました。分かりやすい例えです。

国際教養大学の鈴木学長は、これからのグローバル化する社会における教育のあり方について、リベラルアーツの重要性と主体的に学ぶことの大切さを強調されていました。
今後学生は、4年間ずっと同じ大学で学ぶのではなく、渡り鳥のように良い教育の機会を得られる所を渡り歩くことになるだろうと予測し、主体的に自らの学びを選択することの重要性を説いていました。

必ずしも、この会で22世紀型スキルが何なのか、どのように身につけるのかという答えが出たわけではないのですが、進行役を務めた桜美林大学の田中義郎先生も含めて、中高と大学の両方の立場から未来の教育について討論をしたのは、とても意義があったと思います。

この続きは、11月30日のシリーズ第3回に話が聞けると思います。次回は、開成中学高等学校校長の柳沢幸雄先生、鷗友学園女子中学高等学校校長の吉野明先生が登壇される予定だそうです。こちらも楽しみですね。