東京大学の推薦入試の評価は

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

大学入試が佳境を迎えています。私立大学の入試はほぼ終了に近づき、残すは国立大学という段階になっています。受験生は大変な時期ですが、健康に留意しながら最後まで力を出し切ってほしいと思います。

国立大学の一般入試はこれからですが、推薦入試やAO入試は既に終わっています。話題になっていた東京大学の初の推薦入試は先週発表があり、100名の募集定員に対して、173名の出願、77名の合格という結果になりました。
結局、倍率もそれほど高くなく、定員にも満たなかったのですが、各校から男女1名ずつしか合格しないとか、入試要項の求める書類の中に「数学オリンピックなどの科学オリンピックで顕著な成績をあげたことを示すもの」という記載があったりと、ハードルの高さが顕著だったため、敬遠されたのだと思われます。

この結果について、既に否定的な意見が各所で聞かれています。テレビで在学生のインタビューも放送されていましたが、「学力が低い人が入ってくることに不安を感じる」などの意見が聞かれました。
また、特定の予備校から14名合格していたことが判明し、既に受験対策されているという批判もありました。

しかし、私はこの取り組みには一定の成果があったと思っています。そもそも多様な力を持った人を入学させるために行っていることですから、センター試験の点数が多少低くても問題はないし、3,000人の新入生に対しては3%程度の割合ですから、大勢に影響はありません。「2020年の東大卒業生はあてにならない」などと、今から企業の採用への悪影響を主張する人もいるようですが、それはさすがに考え過ぎというものです。

これからペーパーテストの得点だけではない多様な能力を試す大学入試に変革しようとしている時期です。東京大学の入試改革は世論への影響力は大きいですから、これを否定的な評価で終わらせてしまうのではなく、良いことも悪いことも前向きに評価していきたいと思います。