【この学校の校風、特色】聖光学院中学校(神奈川県)

こんにちは。コアネット教育総合研究所の松原和之です。

来月の私学マネジメント定例セミナーで講演を行うテーマは、「学校の特色(うり)づくりの本質」です。その関係もあって、最近、学校を訪問する際は、「この学校の特色は何だろう、校風はどうだろう」ということに着目して見てきています。

今日は、横浜市にある聖光学院を訪れましたので、その話をしたいと思います。

聖光学院といえば、神奈川県のトップクラス男子進学校です。中学入試も難関で、受験生憧れの学校です。

私が感じた校風は、男子校なのに男臭くない、洗練された爽やかな雰囲気です。自由だが放任ではない、しっかりとした落ち着きのある印象を受けました。

特色(うり)は何でしょうか。
キリスト教教育、行事が多い、進学実績が良い、聖光塾、選択芸術講座などは分かりやすい特長だと思います。
あえて私は、以下の3点を挙げてみます。

1)中高6年間を2年ごとに区切った一貫教育

中1・中2を前期、中3・高1を中期、高2・高3を後期と呼んでいますが、カリキュラムも進路指導もこの区切りを強く意識しています。詳しくはここでは述べませんが、以前聞いた話では、クラス担任は、この区切りの中で2年ずつ持ち上がりなのだそうです。それぞれの時期のエキスパートがいるというわけですね。

2)オリジナル・テキスト

教頭先生が「本校の自慢は印刷室です」とおっしゃいました。どういうことかというと、先生がみなオリジナルのテキストを作るので、印刷・製本を校内で出来る体制を整えているということです。
公立なら検定教科書を使いますよね。私立でも検定外の教科書を使ったり、都度プリントで補充する学校は多いと思いますが、ほとんどの教科でオリジナルのテキストを作っているのはすごいと思います。

実際にテキストを拝見しましたが、高校の生物のテキストはかなりレベルが高かったです。大学受験だけを意識するのではなく、生物学や医学への興味・関心を引き出す内容になっています。
もちろん、「東大・京大・医学部のための数学演習問題集」のような受験対策のものもあり、その充実ぶりはとてもレベルが高いと言えるでしょう。

3)校長先生

校長は、神奈川県私立中高協会の会長も務める工藤誠一先生です。
見た目は豪放磊落、でも実行には緻密さも兼ね備えている。そのような感じの方です。学校説明会でも1時間独演してしまいます。お話も上手で惹きつけるものがあります。
とまあ、そこまでは校長先生個人が素晴らしいという話なのですが、それだけではなく、そのマネジメントにより、学校が変革しているということです。
今日のお話の中にもありましたが、「生徒を学校に縛らない」「将来世界に羽ばたく生徒たちを学校の中に閉じ込めても仕方が無い」とおっしゃるのです。生徒たちの活躍の場を外に広げようというお考えです。

そして、現在、校舎の建て替え事業を推進しています。大きな校舎ですから大事業です。
カトリックの学校なんだから、入学式や卒業式では教会の鐘の音で入退場させたいんだ!」
という校長先生たっての希望で鐘楼を造るそうです。
夢とロマンも持ち合わせたマネジメントは素晴らしですね。


写真は、新校舎3階のルーフガーデンから見る建て替え中の旧校舎