グローバル化対応に本腰を入れる

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

自民党教育再生実行本部が安倍首相に提出する第1次報告案をまとめました。「教育再生の3本の矢」として、英語教育の抜本的改革、理数教育の刷新、国家戦略としての情報通信技術(ICT)教育を掲げています。
まだ自民党内の政策案ですので、どこまで実現するかは分かりませんが、これからの教育の方向性を考えるよい機会ですので、ここでも少し触れておきたいと思います。

英語教育の改革提案の中でもっとも目を引くのが、TOEFL重視の方針です。
全ての国公立大学と私立大学で、学部ごとにTOEFLの点数基準を定め、クリアした者に受験を認めるようにするという提案です。

TOEFLは英語圏の大半の大学で留学志願者の英語能力証明として使われていますので、日本の大学でも必須にすることで、高校生の留学の活発化が図られるでしょう。
また、センター試験や二次試験など、1回限りのテストの結果で合否を決める日本の大学入試システムが、諸外国のように何度でもチャレンジできるシステムに変わることは意義深いことだと思います。

TOEFLの導入で中高の教育に大きな変化を与えるのは、speakingの学習です。日本の英語教育では長らくreading、writingが重視されてきた経緯があります。近年は、大学入試でもlisteningが導入されるようになり、中高においても学習に力を入れていると思いますが、speakingの試験があるとなると、カリキュラムの見直しが必要になるでしょう。
平成30年度頃からの導入を目指しているとのことですので、提言通りのスケジュールで進めば、新中1や中2が大学受験をする頃は、大学入試制度がガラリと変わっているかもしれません。

私立の中高にとっては、大学入試の対策は生命線です。このような大きな制度変更の兆しを敏感に情報キャッチし、早めの対応策を考えていかなければならないでしょう。