元スターバックスCEOが教えてくれたもの

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

コーヒーチェーン店スターバックスにはオペレーション・マニュアル(機械の操作方法など)はありますが、サービス・マニュアルはありません。

あるお客様からCEOに届いた手紙。そこには、スターバックスのある店員への感謝の言葉が綴られていた。
手紙の主(父親)の娘である女子高生A子さんは二子玉川店のヘビーユーザーだった。そして、A子さんはある店員B子さんのファンで、自分も将来はスターバックスで働きたいという夢を持つほどであった。

しかし、A子さんは重い病気を患い、米国で手術をすることになった。渡米するその日、A子さんはどうしても大好きなスターバックスシナモンロールを食べたいと言い出した。しかも、空港ではなく、二子玉川店の。ところが、出発時間は朝早く、お店が開いていない時間だった。
父親はダメ元で、店に連絡をし、お願いをしてみた。そうしたところ、開店前にもかかわらず、店員のB子さんが特別に焼きたてのシナモンロールを用意してくれたのだそうだ。

残念ながら、A子さんはスターバックスの店員になる夢はかなえられなかった。病魔には勝てなかった。しかし、手術前に食べたシナモンロールの味は亡くなるまで忘れなかったそうだ。

父親は、後日、感謝の気持ちを伝えたくて、お店のB子さんを訪ねたが、異動になっていて会うことができなかった。そこで、CEO宛てに手紙を書いたとのことであった。


昨日、元スターバックスCEOの岩田松雄さんのお話を聞く機会がありました。そこで、この手紙を読んでくれました。
本来なら、開店前に商品を提供するなんて規則違反です。規則の厳しい会社だったら罰せられてもおかしくありません。でも、岩田さんは、当時本社に異動になっていたB子さんを呼んで、褒めたそうです。そうしたら、B子さんは「当たり前のことをしただけ」と答えたそうです。

「そう、それがスターバックスです」と岩田さんは言いました。

スターバックスにはサービス・マニュアルはありません。あるのは「ミッション・ステートメント」です。

「To inspire and nurture the human spirit――One person, one cup, and one neighborhood at a time.(人々の心を豊かで活力あるものにするために――ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから)」

ひとりのお客様の心を豊かにするために、当たり前の行動だったのでしょう。

スターバックスCEO岩田松雄さんのお話は、私学マネジメント協会第3回定例セミナーでも聞くことができます。7月16日(火)の18:30〜、会場は新宿です。近くなったらコアネット教育総合研究所のホームページにもお知らせをアップします。ぜひお越し下さい。