森を見て木を見ず、葉を見て木を見ず

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

ゴールデンウィークが終わりましたね。多くの人は昨日から久し振りに出勤されていると思います。ゆっくりと過ごして英気を養った方、逆に遊び過ぎて疲れてしまった方など、様々だと思いますが、心機一転、がんばりましょう!

私は、足の怪我のせいで出歩くことができないので、自宅でテレビを見たり、読書をしたりと、シャキッとしない過ごし方をしてしまいました。
でも、せっかくなので、GW中に読んだ本のご紹介をしておきましょう。一橋大学大学院の楠木建先生の「経営センスの論理」(新潮社)という新書です。

各章には、「経営者の論理」「戦略の論理」など難しそうなタイトルがついていますが、楠木先生独特の言い回し(かなりギャグが挿入されている)で、すっと読める感じになっています。

私が一番印象に残ったのは、「森を見て木を見ず、葉を見て木を見ず」という言葉です。経営や戦略を論じるときに陥りがちな落とし穴として語られています。
ある企業がなぜ成功しているのかを説明するときに、円高や市場成長率といったマクロの要因に注目しがちである。もちろんマクロ環境は企業の経営や業績に影響を与えるが、それだけでは「森を見て木を見ず」だ。戦略とはあくまでも個別企業(木)の問題。同じ森でも伸びている木もあればパッとしない木もある。この違いをつくっているのが戦略だ。逆に、個別企業の戦略をよく見ようとすると、木(戦略の全体)をとらえようとせず、葉(ぱっと目につく個別の施策)を見るだけになってしまう。つまり「葉を見て木を見ず」になってしまう。と説明をしています。

この話を読んで、学校の戦略も同じだと思いました。学校の生徒募集が振るわない理由を少子化だ、受験率が低下しているからだ、と「森」のせいにしがちです。同じ森の中でも成長している木もあります。森だけのせいではありません。
逆に、戦略を語るべきなのに、朝読書を取り入れていますとか、英語の授業時数が標準より3時間多いです、という「葉」の説明をする学校が多いのも確かです。
「森を見て木を見ず、葉を見て木を見ず」というのは、まさに言い得て妙です。

楠木先生は、もう1つ「土を見て木を見ず」という陥穽についても語っています。「そもそも日本企業は」というような土壌論に帰してしまうことは危険だと警鐘を鳴らしています。
あなたの学校でも、「そもそも学校というものは」「そもそも教育というものは」という言葉で逃げていませんか?
学校であろうと、教育機関であろうと、経営戦略は成り立ちます。「森」や「土」のせいにせず、また細かな「葉」だけの話にせず、きちんと「木」(経営戦略)を語れるようにしましょう。

楠木建先生は、私学マネジメント協会の定例セミナーに講師として登場してくださります。5月22日(水)の18時から、会場は大阪梅田です。この話をしてくださるかどうかは分かりませんが、とても役に立つ、且つとても面白い話が聞けると思いますので、どうぞご参加ください。→詳しくはこちら