なぜ教育は学校という施設で行われるのか?

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

11月30日に、毎日新聞社主催(日能研協賛)のシリーズ「22世紀型スキル<持続可能学力>を高める私学の教育」第3回座談会に参加しました。前回の第2回では、麻布、雙葉、国際教養大という対談でしたが(ブログで紹介済み)、今回登壇したのは、開成中学高等学校校長の柳沢幸雄先生と鴎友学園女子中学高等学校校長の吉野明先生のお二人でした。


第3回座談会は、紅葉がきれいな青山学院大学を会場に行われました

開成の柳沢先生の話は、「22世紀にもなると、今以上に情報技術が発展しているだろう。そういう時代でも、まだ学校の存在価値はあるだろう。では、なぜ教育は学校という施設で行われるのだろうか?」という問題提起から話が始まりました。柳沢先生は、学校は知識を授けるだけの場ではなく、友人や先輩たちから学ぶ中で、対人力や対社会力を身につける場だと説明します。その上で、「22世紀型スキル」を「新しい技術に必要な知識を容易に、柔軟に獲得するために、多様な人間関係を結ぶ力」と定義しました。つまり、学校は知識を伝えるだけの場ではなく、多様な人間関係を結ぶ力を身につける場であるから、22世紀になってどれだけ情報技術が発展しても存在価値があるということです。

鴎友の吉野先生もこの考え方に同意し、社会の変化が激しく知識はすぐに陳腐化するが、その知識を獲得する力も含めて学校で養うべきだと主張されていました。中高一貫教育では、中学校の時代に基礎知識をきちんと身につけ、高校では、それを応用する力や創造力などを育てられる。そのためには、まず「なぜ?」という疑問を持つ機会を増やすことが大切だと語っていました。

吉野先生は、対談の中で、1990年代までは一斉に知識を伝授する教育でよかったかもしれないが、今は多様化の時代。一人ひとりが何をしたいのかを大切にする教育が大事だと言います。アクティブ・ラーニングは最近になって文部科学省も大事だと言い始めたが、私学ではずっと前からやり続けてきた。これからもそれを磨いていくだけ、と語っていました。

私も私学の教育に時代が追いついてきたのだと思っています。多様化の時代だからこそ、様々な教育を行う私学がもっと脚光を浴びるでしょう。これから少子化もますます進み、学校経営も大変な時代に突入しますが、私学は自信を持って、教育理念に従い教育活動を行ってほしいと思います。


座談会終了後、吉野先生、柳沢先生は、小学生や保護者からの質問に丁寧に答えていらっしゃいました