オランダのシチズンシップ教育

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

本日、未来教育会議のシンポジウムで、オランダの教育の話を聞きました。その中の一つをご紹介しましょう。それは、ピースフルスクールのメディエーター制度です。

ピースフルスクールというのは、オランダの公教育の中で600校以上に取り入れられているシチズンシップ教育のプログラムです。

メディエーターとは仲裁者のことなのですが、小学校の中で起こるけんかやいじめなどの問題を小学生自身が仲裁者となって解決にあたるという制度です。メディエーターは、6年生が立候補して選ばれるそうですが、先生ではなく、生徒自身が問題を解決するというところが自主性を重んじるオランダらしいですね。

たとえば、男の子が投げたボールが、女の子に当たって痛くて泣いたとしたとしましょう。そうすると、メディエーターが両者を呼んで、話を聞くのです。まず、被害者の女の子に、何が起こったのか、事実を聞きます。そして、その時にどう思ったのかという感情を聞きます。
続いて、加害者の男の子にも事実と感情とを分けて聞きます。そうして、メディエーターが間に入って、当事者間の解決を仲裁するのです。
このような取り組みを行うと、自然と問題が起こりにくくなるそうです。

ピースフルスクールでは、子どもたちの間にコンフリクトが起こることは当たり前として、それを解決することも必要な力として認識しています。問題を教師が解決するのではなく、自分たちで解決する習慣をつけることで、問題をこじらせない方法も覚えていくのでしょう。

私たちは、問題が起こらない状態を平常と言います。しかし、オランダのピースフルスクールでは、コンフリクトが起こることを平常と認識しているところに違いがあります。

ちょっとした子ども同士のいざこざがあると直ぐに親が飛んできて、揉め事が余計に大きくなる日本には馴染まない方法でしょうか?

学校でのシチズンシップ教育以前に、私たち大人が市民として成熟しないといけないかもしれませんね。