実践者が語るアクティブ・ラーニングの可能性

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

昨日(2015年3月28日)、東京大学・大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)が主催する「実践者が語るアクティブ・ラーニングの可能性」というシンポジウムに参加しました。
広島県安芸太田町立加計小学校、大分県竹田市立竹田中学校、埼玉県立大宮高等学校の3名の先生からの実践報告と討論です。

CoREFが普及・促進しているアクティブ・ラーニング手法は、「知識構成型ジグソー法」というものです。ジグソー法は、あるテーマについて複数の視点で書かれた資料をグループに分かれて読み、自分なりに納得できた範囲で説明を作って交換し、交換した知識を統合してテーマ全体の理解を構築したり、テーマに関連する課題を解いたりする活動を通して学ぶ、協調的な学習方法の一つです。
※ジグソー法の詳しい説明はこちら

シンポジウム登壇者の大宮高校の畑先生は、ジグソー法に対するよくある懐疑的な質問として、3つを挙げ、それらに対しての見解を発表しました。それは、(1)どう評価するのか、(2)グループ学習とどう違うのか、(3)労が多く日常化できないのではないか、という3点です。

アクティブ・ラーニング化が叫ばれる中、なかなか進まないのは、こうした懐疑的、否定的な意見が出て潰されることがよくあるからです。

シンポジウムの討論の中でもこれらの問題は取り上げられました。評価という点においては、まず評定とは切り離して考えるということを前提に、活動の前後の変化を捉えること、活動の中での発話の変化を見取ることが挙げられていました。CoREFでは、生徒たちの発話を記録し解析するプログラムを研究中とのことで、今後評価の可能性も広がっていくと思われます。

グループ学習との違いについては、異なるグループでの気づきを語ることで、気づきの再構築を図ることができる点や、分かれて活動する時間短縮のメリットについて語られました。

また、授業準備が大変で日常化できないのではないか、という疑問については、型を身につけてしまえばそれほど大変ではないこと、他校の先生の実践例が共有されていること、などが挙げられ、日常化は可能であるという主張がなされました。
ジグソー法で苦労するのは、議論の3つの部品を過不足なく作り出すことだと思います。それは慣れてくれば感覚的にコツがつかめるようになるのではないかと思います。

実践されている先生方の頻度を聞いても、学期に1回、月に1回、1単元に1回など、毎日実施しているわけではありません。知識を習得する授業と、学びの自主性や思考力、表現力を育てるこのようなアクティブ・ラーニング授業は、その割合を考えて取り組んでいく必要があると思います。

いずれにしても、小中高におけるアクティブ・ラーニング授業の可能性を実感させてくれる良いシンポジウムだったと思います。


シンポジウムが行われたのは東京大学(本郷)の小柴ホールでした