大学入試改革で中高時代の学びはどう変わるか

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

中教審の答申で、大学入試改革の方向性が示されました。今後、大学入試改革によって中学や高校での学びはどのように変わっていくのでしょうか。

そんな疑問に答えるシンポジウムが、本日、読売新聞社主催で行われました。「読売グローバル教育フォーラム 大学入試改革で中高時代の学びはどう変わるか」です。
講演者は、鈴木寛氏(東京大学慶應義塾大学教授)、吉田晋氏(日本私立中学高等学校連合会会長、富士見丘中学・高等学校校長・理事長)、柳沢幸雄氏(開成中学校・高等学校校長)、小林りん氏(International School of Asia, Karuizawa 代表理事)の4名です。

第1部の講演では、それぞれの立場で、大学入試改革およびグローバル教育について語っていましたが、面白かったのは、第2部の4名によるパネルディスカッションです。通常は、パネルディスカッションは、あまり議論が盛り上がらず、つまらないものになることが多いのですが、さすがはそれぞれグローバルに活躍する方ばかりが集まったので、議論が盛り上がり楽しかったです。
講演や議論の内容は、後日、読売新聞紙上に掲載されるとのことですので、詳述しませんが、結論的に話された「グローバル化する社会を生きる子どもたちに必要な力とは何か」という問いに対する4名の答えだけを紹介しておきましょう。

小林りんさんの答えは、「多様性への寛容」でした。グローバル化する社会とは、日本人が世界で活躍するというだけでなく、世界の人々が日本にもやってくるということです。これからの社会では否応なしに人々の多様化が進みます。そのような中で多様性への寛容は必ず必要になるでしょう。

鈴木寛さんの答えは、「メタ認知能力」でした。OECDの方とも定期的にディスカッションをするそうですが、その中でもよく話題に上るのが、このメタ認知能力だそうです。メタ認知能力とは、自分の考えや行動を認知する力のことですが、自分がいま何をやっているのか、何を目的にしているのかが分からなくなってしまうことも多いと思います。それを認知しコントロールできる力はとても重要だと思います。

吉田晋さんの答えは、「自国の文化の知識と思いやりの心」です。グローバル化するからこそ、きちんと自国の文化や歴史について知識を持ち、また日本人の良さでもある思いやりの心をきちんと身につけるべきでしょう。

そして、柳沢幸雄さんの答えは、「生活力」です。グローバルに活躍できるとは、どこへ行ってもすぐに適応して生きていけるということだとのことです。自分のことは自分で出来るということから始まって、本当の意味での生きる力を身につけることが大切なことだと私も思います。

それぞれ異なる立場の4名の方が様々な視点から意見を出し合い、とても有意義なシンポジウムだったと思います。
そして、内容もさることながら、私がびっくりしたのは、このタイトルのイベントに、2,000名の方が申し込みをしたとのこと(抽選で500名の方が参加)。「グローバル」に興味を持ったのか、「大学入試改革」に関心を持ったのか分かりませんが、おそらく教育関係者だけでなく、一般の方もたくさん参加していたと思います。改めて、関心の高さに驚かされた1日でした。