この夏、「アクティブ・ラーニング」が熱い!

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

しばらく更新をせずに申し訳ありませんでした。毎回定期的に読んでくださっている方はいらっしゃらないと思いますが、何となくお詫びを申し上げておきます。

なぜブログの更新ができなかったのかというと、ここ1ヶ月半ほど、ものすごく忙しかったからです。そして、なぜ忙しかったのかというと、「アクティブ・ラーニング」流行りのおかげで、講演の依頼が多かったからです。オープンなセミナーとして2回、それ以外に学校に招かれて校内研修会の講師を務めたのが数校。8月以降の1ヶ月半だけで、のべ500名以上の中高の先生方にアクティブ・ラーニングのお話をしたことになります。

ここ4年ぐらいアクティブ・ラーニングの研究をしてきました。それは、ある私立中学校の教育コンセプトを構築するというコンサルティング業務の中で調査・研究をしてからです。当時、既に先進的な大学ではアクティブ・ラーニングを取り入れ始めていました。大学の事例を調べたり、大学の研究者とコラボレーションする中で学んでいき、中学校教育に取り入れる提案をしました。まだ中等教育では全国的にも珍しい取り組みだったと思います。

その後、大学においては2012年8月の中教審の質的転換答申の中でアクティブ・ラーニングという言葉が登場し、また、2014年11月の学習指導要領の諮問の中で明記されたことで、初等・中等教育にもアクティブ・ラーニングの波が押し寄せてきました。さらに、2014年12月の中教審高大接続答申の中でも明記されたことで、2020年の大学入試改革と関連付けて語られることが増え、にわかに中学や高校の注目を浴びることになったのです。

ということで、この夏、「大学入試改革とアクティブ・ラーニング」というテーマでの講演依頼が急に増えたというわけです。
同時に、私立中高から業務委託を受けて、学校におけるアクティブ・ラーニング導入の計画づくりと実行支援を行うというお仕事も増えました。

私としては、アクティブ・ラーニングの導入(および、それと関連したICT導入)は、いま学校にとって最も重要な課題だと思っています。先日、文部科学省高大接続システム改革会議の座長である安西祐一郎さん(元慶應義塾長、日本学術振興会理事長)がおっしゃっていた「いまは明治初期、戦後と並ぶ3回目の大きな教育改革の時期だ」という意見に同感です。明治以来続いている一斉型講義授業主体の学校教育からの脱却が本当に進めば画期的なことです。

ただ、こう言うと、逆にハードルが高くなって現場の先生方が二の足を踏んでしまいます。実際は、アクティブ・ラーニングの導入は難しくありません。まず出来ることからやってみるという気楽な一歩が大切です。
学校全体で取り組もうと思うと、組織の論理が働きなかなかうまく進みません。そういう場合は、我々外部の人間にお任せください。組織のしがらみをうまくかわしながら進めていきます。
しかし、それを待たず、個人的に始めることには何のハードルもありませんので、気軽にやってみましょう。

ただし、アクティブ・ラーニングは形から入ると失敗します。何かアクティブ・ラーニングという魔法がどこかにあって、それを使うことでガラッと変わると思っている見方も間違っています。
アクティブ・ラーニングは、教師主導の授業から学習者中心の授業への転換です。形よりも先生方の意識の変革の方が重要です。授業は教師が教えるもの、という既成概念を捨てなければなりません。
そして、形よりも先に目的が必要です。生徒たちにどのような力を身につけてほしいのか。それが決まらないとアクティブ・ラーニングの授業は設計できません。
(ここでは詳しく話しませんが、思考力・判断力・表現力や主体性・多様性・協働性といった知識・技術以外の学力の三要素をイメージしてください)

学習者中心にして教師はそのファシリテイターだとしたら、どういう授業設計になるでしょうか。
生徒たちより前に、まず先生方が主体的に考え、問題を解決する姿勢を身につけないといけません。アクティブ・ラーニング手法は与えられるものではありません。自ら能動的に関わっていきましょう。

私のアクティブ・ラーニングの話は、10月、11月にもセミナーが用意されていますので、どこかでお会いしましょう。私もアクティブ・ラーニングの輪が広がることを楽しみにしております!