推薦入試で進学すると年収が低い!?

こんにちは。コアネット教育総合研究所松原和之です。

先日、ある学校(A校と呼びましょう)の改革ストーリーを考えるために、社内でディスカッションをしていました。A校は、中高一貫校なのですが、現状、あまり大学進学実績が良くありません。校長先生にヒアリングをしたところ、今後、学力を向上させ進学にも力を入れていきたいとおっしゃっていました。
A校は現状、多くの生徒が指定校推薦や公募推薦AO入試などの学力考査のない試験制度で大学に進学しています。それは必ずしも悪いことではないのですが、チャレンジしないので、実力よりも高い大学に進むことはほとんどありません。一般入試で受験するように変えて行かないといけないだろうと話し合っていました。

こんな調査結果があります。
京都大学特任教授(論文発表時)の西村和雄氏らが調査したところ、大学に一般入試(学力考査がある試験)で進学した人は、推薦入試等(学力考査がない試験)で進学した人に比べて、社会人になってからの年収が高いというのです。
例えば、国立大学理系の場合、一般入試利用の人は平均580万円、推薦入試等利用の人は平均463万円と、100万円以上の差がついたのです。
調査報告書はこちら

西村教授ら研究グループでは、この原因を、推薦入試等では高3の秋には合格が決まってしまい、少なくとも3ヶ月は真剣に勉強をする期間が短いからだ、と説明しています。

もちろん、生徒に向かって「一般入試で進学した方が将来儲かるよ!」って言うわけにはいきませんが、先生方が進路指導をする際には、こういう情報も頭に入れておいた方がいいと思います。

私は、推薦入試が一概に悪いとは思っていません。むしろ、一度きりの学力試験で合否を決めてしまう入試の方を何とかしたほうがいいと思っています。
ですから、入試のスタイルというよりも、入試が終わってしまうと勉強をしなくなるということの方に問題があるのではないかと考えます。

学ぶということは楽しいことばかりではないので、何か目的・目標を作らないと続けられないということは分かります。でも、目先のことだけではなく、もっと大きな目標に向かって進むモチベーションを育てられるといいなと思います。